元赤坂「辻留」

煮物椀三題 その一

食べ歩き ,

煮物椀三題 その一
一月は、「辻留のお正月」と題して、祝いの料理が出される。
煮物椀も、雑煮である。
裏千家のお初釜で供される雑煮と、同じ仕立てだという。
つゆを飲めば、いつもより出汁がしんみりめで、濃い。
そのうま味の中を、餅の焦げた香ばしさが流れて、思わず顔が緩んだ。
亀甲大根の優しい甘みを噛み、新潟から送られるという餅の滑らかさを味わう。
うずらの丸を口に運べば、ふわりとはかなく口の中で崩れ、微かに叩いた骨がアクセントをする。
日の出人参の香りを楽しみ、可愛いうぐいす菜をかじる。
やはり雑煮はいい。
松の内を過ぎてもなお、晴れやかな気持ちになる。

村瀬治兵衛の盆に乗せて

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